今月、MagiQ Technologiesという新興企業が、機密文書の暗号化、解読に広く使われている数字の暗号鍵を光子を使って送信するシステムの販売を開始した。
コードメーカーは今まさに、昔から続くコードブレーカーとの軍拡競争において勝利を目前にしているのかもしれない。
20年にわたる研究の末、解読不能と考えられる暗号化プロセスが登場しつつある。解読不能と思われるその根拠は、量子物理学の難解な法則を採用している点にある。
今月、MagiQ Technologiesという新興企業が、機密文書の暗号化、解読に広く使われている数字の暗号鍵を光子を使って送信するシステムの販売を開始した(11月7日の記事参照)。このようなシステムが市販されるのは初めてと思われる。
光子はバラバラのエネルギーの粒子で、非常に敏感であるため、 誰かが鍵を途中で傍受しようとすると光子の動きが変化し、送信者と受信者に傍受されたことが通知され、盗まれたコードは無効となる。
「このコードをクラックする手段はない」とMegiQとは関係のないベル研究所の量子コンピューティング研究者ロブ・グロバー氏は 語る。
MagiQのシステム「Navajo」――第二次世界大戦中のネイティブアメリカンの暗号部隊にちなんで名付けられた――は、約50セン チのブラックボックスで、光ファイバー回線を介して信号を生成し、読み取る。
MagiQは、Navajoの5万〜10万ドルというコストは、銀行、保険会社、政府機関、製薬会社など、機密情報をやり取りする組織には 魅力的に感じられるだろうと期待している。
同社の創設者兼CEO(最高経営責任者)ボブ・ゲルフォンド氏は、「当社は、この製品が世界に大きなプラスの影響をもたらすと考えている」と語る。
現在一般的に使われている暗号化の仕組みは安全と考えられているが、理論的にはいつか破られる可能性がある。
だがその日がまだ来なくても、量子暗号は現行の暗号よりもある重要な点で優れているとゲルフォンド氏は考えている。セキュリティを極めて高く設定した状況で、パスワードなどの情報を複数の人間で共有する場合、データを暗号化するために共通の長い暗号鍵 を使わなくてはならない。こうした鍵は時折、配達人や特殊なソフ トなど、不完全な手段で運ばれることがあり、あまり頻繁に変更されないため、傍受されやすいことがある。
「完全な暗号化アルゴリズムを使っても、他人に鍵を入手されたら問題だ」(ゲルフォンド氏)
Navajoシステムは、鍵を傍受できない光子で送信するだけでなく、1秒間に10回鍵を変更する。「誰かが鍵の複製を入手しても役に立たない」と同氏は説明している。
もちろん、解読できないコードということは、インテリジェンスエージェントがメッセージ を傍受して読む機能は無効化されることになる。必然的に人知に依存する部分が大きくなるだろう。
それ故に、コード作成・解読で世界の最前線に立つ米国家安全保障局(NSA)は、量子暗号 の普及に対して懸念を抱いているのではないだろうか? あるいは、NSA自身がこの技術を使っているのだろうか? しかし、NASAに関するほとんどの情報と同じように、その答えは秘されたままだ。
MagiQは、政府に対してNavajoを国外でも販売する許可を求めている。ゲルフォンド氏は、政府は1990年代に暗号輸出を規制しようとして失敗したことで、一度発明された暗号化の手法を封じ込めようとしてもほとんど意味がないことを認識しているだろうと期待している。どのみち、中国でも量子暗号の実験が行われたことが分かっているのだと同氏は指摘する。
少なくともスイスのid Quantiqueという企業は、Navajoと似たシステムを開発している。ただしこのシステムはまだ試験段階にある。
一方、ほかの組織は素粒子を使ってコードを運ぶほかの方法を模索している。英国の防衛研 究機関の関連企業QinetiQと、ロスアラモスにある米国立研究所では、量子鍵を光ファイバー 回線を介してではなく、大気中で運ぶ実験を行っている。
1980年に初めて量子暗号のデモを行ったIBMでは、量子システムを縮小して、既存のコンピュータ・通信ネットワークにより効率的に組み込めるようにする手法に取り組んでいる。
いずれにしても、量子暗号は物理学の決定的な発見である「ハイゼンベルクの不確定性原理」を利用している。これは想像しにくいかもしれないが、素粒子は何かと作用し合うまで、 一度に複数の可能な状態にあるという原理。
Navajoシステムは暗号鍵を送信する際に、光ファイバー回線を通って移動する光子に測定可能な特性を与える。もう1台のNavajoシステムはこれらの特性を測定し、それによりほかの特 性を捨てる――2台のNavajoシステムは通信が完了した後で協議し、すべての特性を整理する。このシステムは最大120キロ離れた場所に置けるが、それ以上離して置く場合は中継点と して追加のシステムが必要となる。
米マサチューセッツの通信キャリアNEON Communicationsのオペレーションディレクター、ジェームズ・カープアノ氏は「これは興味深い」と語る。同社は自社ネットワークでNavajoシステムをテストし、今は顧客がNavajoシステムの利用に追加料金を払うかどうかを検討しているところだ。「この製品の導入は非常に簡単だ」
これは、量子物理学を使ったより深遠な研究への第一歩にすぎない。
科学者は数十年以内に、素粒子の複数の可能な状態と相互作用を、現在のコンピューティングで使われている「0」と「1」に置き換えたいと考えている。もしそれが実現すれば、量子コンピュータで複数の複雑な計算を同時に行い、現在のスーパーコンピュータよりもはるかに強力なコンピュータを作り出せるだろう。
2〜3の粒子を使った単純な計算は実現されているが、大きな量子のスープの中で、それを制御可能で一貫した方法で繰り返せるようになるには長い時間がかかる。
1990年代に、AT&T Labsのピーター・ショア氏の画期的な研究で、量子コンピュータは現在のコード――量子暗号で作られたコードを除いては――をクラックできるほど強力であることが示された。
そしてコードメーカーは戦いの末、ついにコードブレーカーの先を行こうとしているのかもしれない。
「われわれはこの競争を止めてみせる」とQuantiqueの創設者グレゴアール・リボルディ氏。「われわれが望んでいるのは、永遠に安全なシステムを手にすることだ」
携帯電話機メーカーNokiaは11月5日、来年製造予定の電話はIPv6に対応させると発表した。
同社は現在、キャリア向けに試作品を提供しているが、これはテストのみが目的だと説明している。IPv6と現行のIPv4の両方に対応した電話は来年中に市販される見通し。
NokiaはIPv6への対応に力を入れており、同社副社長のアダム・ゴールド氏は「IPv6技術には差し迫った需要があるとNokiaは認識している」とコメントした。
ネットワーキング業界の専門家によると、Nokiaはまず、IPアドレスが枯渇しかけているアジア諸国のサービス提供企業向けにIPv6電話を売り込むと見られる。日本のNTTやAsia Netcomなどの大手キャリアは既に、自社のネットワークでIPv6の利用を開始している。
しかしこれまでのところ、アジア以外の地域ではIPv6製品への需要はほとんどない。IPv6に反対する陣営は、アジア以外では少なくともあと20年は、IPアドレスが枯渇する心配はないと主張してい る。
Bluetooth SIG
Bluetooth SIGは11月7日、次期規格「Bluetooth Version 1.2」を正式承認したと発表した。対応製品は2004年初頭から出荷される見通し。
追加された「Adaptive Frequency Hopping」(AFH)は無線LANとの相互干渉を低減する機能。BluetoothとIEEE 802.11b/gは同じ2.4GHz帯を使用している。AFHは無線LANなどの他のワイヤレスアクセス手段が一定の周波数を占有していても、帯域内でBluetooth通信が途切れないようにする。
また音声処理機能も強化。エラー検出法の採用で雑音や干渉の多い環境でも良好な音声通話が可能という。他のBluetooth機器との接続も高速化した。
1.1との下位互換性は保ち、既に販売されているほとんどのBluetooth機器と通信可能としている。
2GHz帯データ通信と無線LANとのネットワーク間における車載用モバイルルータのシームレス通信実験について
KDDI、KDDI研究所は、これまでCDMA 1X、無線LAN (IEEE 802.11b) などの複数の通信メディアを自動的に切替えてシームレスな通信を実現する車載用モバイルルータシステムを開発してきましたが、今般、2GHz帯データ通信 (CDMA 1x EV-DO方式、データ通信速度は最大2.4Mbps) とIEEE 802.11aの無線 LAN (最大54Mbps) とのネットワーク間におけるシームレス通信に成功しました。本システムにより、通常、通信メディアが変わるごとに必要な再接続やログインなどの煩雑なユーザ操作が不要となり、車内外の様々なネットワーク間で、通信環境に最適な通信メディアを利用しながらシームレスな通信を行うことが可能となります。
ITS (高度道路交通システム) の研究開発や標準化において、現在、車内のネットワーク化が注目されていますが、開発したモバイルルータによりカーナビ、映画などストリーム配信のできるAV機器やセンサを はじめとする車内の機器に加え、車外から持ち込まれたPCやPDA (携帯情報端末) などの情報通信機器が 車内ネットワークに自動的に接続され、いつでもどこでも最適な通信メディアを利用しながらシームレスな通信が可能となります。
モバイルルータの特徴